「香り」の不思議

先日、朝日新聞で「多和田葉子のベルリン通信」を読んだ。
「どの町にもその町独特の香りがある。町全体の香りもあれば、特定の街角、ある店の前を通る時にだけ気づく香りもあるが、町全体の香りはその中で暮らしていると気がつかなくなる。…………」
                             (多和田葉子のベルリン通信から)

そこで思い出した。何年か前の私の誕生日にチカシが高級なアロマティックルームスプレー(3瓶セット)をプレゼントしてくれた。その訳を………彼は嬉しそうな顔をして………「ヒサコサン、これを天井の方に向かってシュッとひと吹きするとね、あのStuttgartのIsolde-Kurz-Straße 52 の僕たちのBohnung(集合アパート)の玄関を入った時の香りがするんだ。懐かしい匂い」………と言った。

早速、居間の天井をめがけてシュッとひと吹きすると、イゾルデ・クルツ通り52番の集合住宅の重たいドアを押して入った時に感じるドイツの香りが居間に漂いはじめた。日本にはない香りだ。

一瞬にしてStuttgartのIsplde-Kurz-Straße 52 の時空間がからだに広がって………。