澁澤龍彦著『サド侯爵の生涯』を読みおわる。読後感¿ 何と言えばいいのかな………81歳になった今、読んでよかった………。文庫版後書によると………この本は「昭和39年に上梓された桃源社版サド選集の別巻として」澁澤さんが書き下ろしたものとある。
叡と二人で鎌倉に初めて澁澤邸を訪ねた頃だ………まだ30代半ばの澁澤さんは『悪徳の栄え』の翻訳者であり「サド裁判」の被告人。原稿書きに忙しい澁澤さんは………突然訪ねた二十代そこそこの私たちの無作法をやさしく受け入れてくれた。パソコンも携帯もAIもなかった時代……時間はゆっくり進んでいた………。
澁澤さんは『サド侯爵の生涯』の最後に「『すべてをあからさまにいう』という単純なことが、いかに体制にとって恐怖すべきことであったかは、サドの数々の受難の歴史を振り返ってみれば一目瞭然であろう。すなわち、王の体制下では、サドは風俗壊乱罪………革命政権のもとでは穏健主義者………執政政治および第一帝政下では精神病院に閉じ込められるべき狂人………自分のみに禍が降りかかってこないような文章を、サドは1行も書かなかったのである。………」と書いている。
夜になって……雪が降ってきたらしい………外は静か………明日は衆議院選挙の日。
