もうじき79歳がやってくる。

メイ・サートンの『終盤戦 79歳の日記』(幾島幸子訳/みすず書房刊)の訳者あとがきに「著者は前々から八〇歳の誕生日に、生まれて七九年目の一年前の日記を出したいという思いがあったと書かれており、その望みどおり、七八歳の誕生日から書きはじめて七九歳の誕生日で終わっている。………」と、この本にたいするメイ・サートンの想いが書いてある。

私の生まれて七九年目があと十日後にはじまる。七八年目の終盤11月30日『今、ショパンを踊る』のリハーサルを見に、いずみホールに車で連れて行ってもらう。その前の三日間、歯痛でお多福さんになったワカメちゃん状態で外歩きができなかった。

今日から十二月。もうじき七九歳になる。今日の午後、キッチンからベランダにおりてみた。薄青の空に白い雲が綿毛のように浮かんでいる。我が家の杏の木の葉は上の方の枝にかたまってフラフラ風に揺られている。
あぁ、気持ちがいい!と思わず伸びをすると、稽古場から来春のあきらの新作『魔笛』の稽古にきていたトモくんがでてきて、同じように伸びをした。穏やかな初冬………もうじき私の七九歳がやってくる。