アイカワサンの明かりは春の光

昨年の暮れ、相川正明さんがお亡くなりになった。それも突然に。まだ還暦を過ぎて間もないのに・・・。
年が明けた3日と4日のお通夜とご葬儀で、大勢の方が相川さんの急逝に驚きと哀しみの表情を隠せず、最期のお別れをした。
純白の棺にすっぽりと納まった相川さんの、だるまさんのように丸く大きなの顔のほっぺは、どう見ても赤ちゃんのように柔かく、可愛らしい。眺めていると滑稽なほど悲しく愛おしい。
「間違えて、死んじゃったんじゃあないの?アイカワクン」私は、心の中で呟いた。
彼は、明かりの人である前に踊る人だった。1973年の夏、TBSの裏にあった国際芸術家センターでの天使館公演『七つの封印』で、彼は踊った。天使館で一緒に稽古もし、舞台を創り、やがて、明かりを創る人になった彼は、叡の公演ではいつも照明を担当して、国内公演、海外ツアーの多くを共に体験してきた。時には厳しい舞台作りの現場にあっても、慶応大学でノヴァーリスをとりあげたという彼の大きな体のなかには、どこかに優しい美しいひかりを求めるロマンティストが住んでいた。
「カサイサン、ゲンキ?」と、会うといつも彼は言った。尻上がりのその言い方には、彼独特のイントネーションがあった。
喪主の挨拶に立たれた奥さまの千里さんは、「相川は闇が好きでした」と言われた。
相川さんの明かりは、あの大きなカラダの深い闇の中から差してくる魂の美しいひかり。
柔らかく温かい春の色。
今頃、あちらで大好きだったノヴァーリスと邂逅して、仲良く軽やかにひかりのダンスしているような気がする。
アイカワクン・・・また遇いましょうね!