フランシス・ジャムの詩

久しぶりに実家の義姉と電話で長話をする。わたしとほぼ同年の彼女はクリスチャンホームで育ち、兄と結婚して環境も人間関係の作り方も考え方も異なる商家に嫁ぎ、妻として3人の子どもの母として舅・姑を送りわたしには想像できない苦労を重ね今がある。その商家の五人姉弟の末っ子として育ったわたしは、実家を飛び出してプロテスタントの親のもとで育ったアキラと結婚し、どうにか今までやってきた。

義姉は「結婚した時は、自分の育った環境とあまりにも違うのでビックリ!それからいろいろ大変なことがあったけど、信仰がわたしを救けてくれたの。祈りがあったの」と話してくれた。

信仰か! 思い返すと、わたしは迷宮空間を彷徨って今に至り、まだ、彷徨いつづけて心が定まらない。今まで何をしてきたのだろう。

  「序 詩」    フランシス・ジャム / 堀口大學訳

神さま、
あなたは私を人界に呼び出しなされた。
それで私は参りました。
私は、苦しみ 愛します。
あなたが下さった声で私は語りました。
あなたが私の父と母におおしえになり
両親が私に伝えた文字で私は書きました。
私は私の道を行きます、
子供たちに冷笑されながら、
頭を下げて通る重荷を背負った驢馬のように。
あなたの御都合のよい時
私はあなたの御心のままの所へ参ります。

寺の鐘が鳴りまする。