午前中、和子さんがチョコレートのクリスマスプレゼントを持って訪れてくださった。いつもいつも優しく温かい和子さん。嬉しいな………ありがとう。

陽があるうちにと2人で散歩に出る。静かな真昼時………お喋りしながら朝歩きのコースをゆっくりゆっくり………和子さんは「キッチンに座って中庭を眺めていると、時々わたし、生きていたくない!と思うの。死にたいと少しも思わないのにね」という私の自分勝手なとんでもないな愚痴を黙って聞いてくれる………和子さんは「時々、思い出したくない嫌なことがフゥと出てくるの。そんな時はモグラ叩きでポンと叩くの。だからグラ叩きの毎日よ」と軽やかに応える。

和子さんとはビックリするほど長いこと同じ時間を歩いてきた………同じ方に向って。混じり合ったり、溶け合ったりしない。いつもとなりを歩いている途上の人………きっと、これからも。

4時にヘルパーのオガサワラさんが食事介助に来てくれる。ベッドを16度まで起こし、まず、口の嚥下体操から。ゆっくりゆっくりスプーンで食べ物を口に運んでくれる、誤嚥しないように注意して。食べ始めた時はまだ西の空が明るかったのに、終わる頃は日が落ちてすっかり暮れている。わたしと同年輩のオガサワラさん、すっかり暗く寒くなった夜のなかを次の仕事に自転車で向かう。ご無事でありますようにと心のなかでつぶやく。

冬至が過ぎて、これからは一日一日と日が延びて、ふたたび新しい季節がめぐってくる。