吉祥寺シアターに『ヘルマン』を観に行く。

昨夜、ミツタケの車で、川村毅 構成・演出「ヘルマン」を吉祥寺シアターに観に行った。
久し振りに………芝居?演劇?ドラマ?………ポスト・ドラマ!………というのかな、川村毅さんの大きな頭のなかから飛び出したヘルマン・ヘッセ。言葉あり、ダンスあり、映像あり………吉祥寺シアターの純白の舞台空間にヘルマンがいっぱい拡まって、おもしろかった。観にこられてよかった。

終演後、老いたノーベル賞作家・ヘッセ役の麿赤兒さん、新船洋子さん、川村毅さん、プロデューサーの平井佳子さん、世田パブの三上さおりさんらに、直接お目にかかることができた。みなさんお元気、なにより、なにより。嬉しかったな!

『編輯部からの手紙』   ヘルマン・ヘッセ/片山敏彦訳

「われわれに深い印象を残された
貴作の感動的な詩に対し厚くお礼を申します。
さて洵に遺憾ながら、当方の刊行物には
あの詩は多少不向きと存じます」

こんなふうにどれかの編輯部が
ほとんど毎日のように書いてくる。手紙は次第に積み重なる。
なんだか秋の匂いがする。そしてこの漂泊の子は
はっきり悟る、自分にはどこにもふるさとのないことを。

それで唯、自分のためにだけ、目的なしに私は書き
枕元のランプに向って読んで聞かす。
ランプもおそらく耳を籍さぬ。
しかし明かりをくれて黙っている。それだけでも有難い。
“ Brief von einer Redaktion”