急に、冬が来た。

急に寒くなった。夏のギラギラの太陽を、やっと、のりこえたのに………次は、冬の木枯らしかぁ………心細くなる。冬は着る物が多くなるし………とりわけ寒い朝はカラダが重いし…何をするにも時間がかかる………ぬくぬくと着替えもなしで、布団の中に居続ければ、確実に水平生活に逆戻りするだろう………などと想う前に起き上がり………動け!

外は、おお冷たい! 道傍の桜と楓の朽葉を拾って朝日に透かしてみる。葉一面に繊細な幾何学模様の線がはしっている。なんと美しいのだろう。

足早に走っていく中学生たち。ママチャリに我が子を乗せ風にむかって小学校に急ぐお母さんやお父さんたち。始業のチャイムが遠くで鳴っている。

気がつくと、私の口は「エム、エル、エム、エル………」と唱えている。なぜ「エム、エル」なのかわからない……全てが愛おしく感じる瞬間………。

晩秋から冬へ………クリスマスから新年へ………光と闇をくり返しながら螺旋状に時は進んでいく。