手紙(80.9.16)クレアヴァルト・ヴァルドルフシューレに入学の頃

9月16日
さて、こちらは、チカシとレイジが、目出度くヴァルドルフシューレに入学して、通い始めてから2週間経ちました。まず、入学式の日のことを書きますね。
その日は、家族5人揃って、クレアヴァルトのヴァルドルフシューレに行きました。学校の敷地に入ると、直ぐに10歳くらいの男の子たちが、駆け寄ってきて、チカシに「きみは、僕たちのクラスに入るんだよ。こいよ!」と言って、みんなでチカシの手を引っ張って、教室の方に連れて行ってしまいました。チカシの担任のライン先生が、5Bのクラスの子どもたちにチカシのことを既に話してくれていたみたい。5Bの教室を覗くと、コチコチに固まっているチカシの周りを、体が一回りも大きく見える男の子や女の子が取り囲み、あれこれと教えてくれている様子。チカシは分かっているのかなぁ、ドイツ語が通じているのかなぁ、などと心配してもどうしようもありません。まあなんとかなるわ、とあっさりとチカシを置き去りにして、4人でレイジの入学式場に行くと、ホールの舞台上に、新入生の両親、おじいちゃん、おばあちゃんなどの席があり、観客席に新入生と在校生たちが並び、対面していました。そこで、レイジは観客席に、アキラと私は、ミツを連れて舞台上に上がると、いよいよ式の始まり。上級生のヴァイオリン二重奏に続いて、先生のお話。そのお話の真っ只中、ミツが突然、話をしている先生の前にちょこちょこと出て行き、どこにレイジがいるのか舞台の上から探してい様子。観客席の生徒たちからはクスクスと笑い声。舞台上の先生、親たちは、ニコニコ顔。新入生の中に埋もれ、丸まっている小さなレイジは、と見ると、「ミッちゃん、やめてくれよぉ〜」と、顔を歪めて困り顔。面白い一幕でした。それから、クラス担任の発表があり、まず、A組の女の先生のクラスから、一人一人子どもの名前が呼ばれ、呼ばれた子どもは前に行って先生と握手します。レイジは緊張のあまり、上を向いたり、下を向いたり、ため息をついたり・・・。B組になって、ついに「REIJI KASAI」と呼ばれると、しっかりした足取りで前に進み、ヘルムート・リントハイマー先生と握手。目出度くヴァルドルフシューレの1年生に入学しました。やれやれです。
そして今や、毎朝、6時45分に、やっと白み始めた冷たい空気の中にふたりを追い出すと、勢いよく市電の駅までふたりして走って行きます。彼らにとって何より嬉しいのは、お菓子を持って学校に行けること。日本では考えられませんよね。そんな訳で、こちらは皆毎日忙しく、でも、元気です。日本の秋が懐かしいぃ〜!!
また書きます。お大切に。久子