春にむかって

鎖骨にヒビが入ってから(雨の日続きということもあり)朝歩きをサボっていたので、今朝こそ歩かねば!と張り切って外に出る。お日さまは暖かいのに北風ピューピュー冷たい。からだが砂袋のように重たく感じる。
史跡公園中央から天平の道へ直線コースへ。ときどき突風がピュゥ〜。動いているのはわたしなのに思わず前に進まされ、風がわたしを推してくれた。

去年のクリスマスに、小春さんから貰った大きなポインセチアの葉が落ちてきたので、萎れた葉っぱを取ってさっぱりと剪定し水をあげ、日当たりのいいベランダに出すと、残っている葉っぱが生き生きとしてきた。庭にいつの間にか、クリスマスローズが咲いている。亡き君子さんのボケの花の朱色も際立っている。その下にラッパ水仙の黄色も見える。春近し…………。

わたしが十六歳でアキラと知り合った頃のこと、仙川の桐朋女子学園の高校に在籍していた時、単身スクーターでヨーロッパに乗り込んで日本に凱旋した若き小澤征爾さんが、いち早く我が講堂にやって来て中高全女子学生を前にお話をしてくれた。当時、桐朋女子の隣に小澤征爾さんの母校の音楽科があった。先日、88歳の偉大な音楽家の訃報をニュースで知って、何故かとてつもない大きな温かさにからだが包まれた。

静かな一日の終わり。ゼルマ・メアバオムの詩は、あまりにも悲しすぎる。
ゲーテの『若きウエルテルのの悩み』をまた読もう………ドキドキするし、生き生きするし、なんといっても人間のことを教えてくれるので………。

「もし人間がーしかし人間というやつはどうしてこういう仕掛けになっているんだろうねーこうまでしつこく想像力をはたらかせて過去の不幸を反芻せずに、虚心に現在を生きて行けたら、今より苦痛がすくなくてすむんだがね。」    ゲーテ/高橋義孝訳