春のお告げ

晴れ。9時前に外に出る………おぉ寒む………北風………東側の家の間から明るい光が差し込むが……車椅子のハンドグリップを握る私のふにゃふにゃの手は一向温まらない。めげずに歩こう。ほぼ1時間ほどの朝歩きの後………冷え切ったフラフラのリウマチ車を…………暖かいキッチンまで運んでストップ。
ホッと一息………温めたミルクを飲みながら中庭を眺めると………隅の方で小さなラッパ水仙が小学一年生のように肩を寄せ合って整列しているのを発見!………桃色の杏の蕾がほころびだして…………。

「吹く風も肌寒く、春はどこかで戸惑っているかと思われる頃、日頃は手入れも怠っている畑の花壇に、何気なく目をやると、枯葉がこんもり盛り上がっている。おやっ、と思って枯葉をはらうと、そこにみっちり、十センチほどにのびたひとりしずかの群れがあらわれた。濃い緑色の葉がまだ濡れているようにピカピカ光って、白い花穂も初々しい。思わず「ほぉっ」と声をあげてしまった。まさにはるのお告げ。」
                                 志村ふくみ『母なる色』からの抜粋