朝の外歩き

朝、カート押して外歩きする(もちろん、アキラの監視付き⁉︎))。5ヶ月ぶり。あぁ、気持ちがいい! 涼やかな風が身体を通り抜けていく。二度と会えないと思っていた路端の花たち。残暑の光に向かって健気に首を傾け………「こんにちわ、お久しぶり」と声をかけると「ワタシタチハ、イツモ、コウシテ、ココニイルノヨ」と、おすまし顔で応えてくれる………嬉しいな………前方から軽トラがくる。アキラの小学校の先輩ホンダさんだ。私の横でスゥーと止まり、横目でにっこり。一言「元気かい?気をつけなよ」とボソッと言って、走り去る……ホンダさんの言葉のなかには、いつも温もりがある。人と出会うって、素晴らしいな。アキラに促されて、外歩きしてよかった!

夜、キッチンで、山﨑佳代子さんの『黙然をりて』から、詩一編を読む。

「春のこども、鎮魂」

小さな人が帰ってくる

つめたい海の群青を渡り

はらはらと雪の花となって

春まだ浅き森の道に舞いちり

その魂の名前となってよき言葉

として震える母の乳房をあたため

樹木に宿る精となり獣道を生き急ぐ

父のこごえた耳に旧い歌をかえすため

水底の暗い国から幼い子供が還ってくる

闇の中に、天使館の窓の明かりが見える。アキラのオイリュトミー初伝講座の時間。遠く異国に住み、言葉に命を注ぎ続ける詩人を想う。ウクライナの戦争はまだ終わらない。秋の虫の音を聴きながら、明日も、詩一編読もう。