春の雪の翌日は、いつも快晴。わぁ〜何処かいきたいなぁ〜、と思わず自分のカラダを忘れる。暖かいベットの陽だまりで寝そべっていると、ミツがやってきて「20分ぐらいしたら、ドライブに行こう」と誘ってくれたので「丁度、散歩に出ようと思っていたところなの」と言うと「絶対にひとりで外に行ってはダメ」ときついお達し。
本当に不便なカラダになってしまったなぁ………嘆きいじけて哀しくなる、でもグットタイミング、ぐずぐずしてはいられない。新鮮な外の世界に向かって、エィ!と、でんぐり返しをする。
国立インターから相模湖方面へ………フロントガラスの前方に見える山並み、ガラス窓の細い隙間から入ってくる風………早すぎる春の陽気に包まれて、カラダをリクライニングした車の助手席に委ねていると、心の中で………不便なカラダになってしまった、なんていじけた自分が恥ずかしくなってくる。
もうじき、お雛様。桃の節句だ。亡き母が座敷に桐の箱を持ち出して、赤い毛氈の段々に一つ一つ丁寧に箱からお人形出して並べるのを手伝った嬉しく楽しかったあの頃。
今ドイツはファシングフェストが始まる頃。復活祭に向けて40日間の受難週(断食)に入る前に、大人も子ども、老若男女みんな一緒になって飲んで食べて仮装して、春の到来をお祝いするカーニバル。レイジとミツに大きな水玉模様のピエロの衣装を作ってあげたのを、つい昨日のことのように懐かしく思い出す。
『青いチョウチョウ』 ヘルマン・ヘッセ / 高橋健二訳
小さい青いチョウが
風に吹かれてひらひらと飛ぶ。
真珠母の色のにわか雨のように
きらきらとちらちらと光って消える。
そのようにたまゆらのまばたきで、
そのようにふわりと行きずりに、
幸福が私をさし招き、きらきたと
ちらちらと光って消えるのを、私は
見た。