11月のBROOKLYNつづき5

11月16日夕方4時半。今日は朝から小雨が降っている。ここの部屋は6階にあり、ベランダを通して正面に、マンハッタンに渡る橋が見え、橋に平行して電車が走っている。今すべてが灰色の風景の中で、電車の四角い車窓と車のライトだけがオレンジ色に輝き、忙しく行き交っているのが見える。雪片でも落ちてきそうだ。
昨日の夕方、18日に叡がパフォーマンスをするDNAのスタジオに照明の打ち合わせに行った。打ち合わせが終わり、スタジオの前でシゲさんの車を待ちながら上空を見ると、ヘリコプターの明かりが遠くに動いているのが見えた。10分ほどで来るから、と言ったシゲさんの車を待つこと30分以上。すっかり夜になり、目の前の公園の銀杏の葉がイルミネーションにを受けて、金色に輝いている。どうしたのだろう、といよいよ心配になりだした時、シゲさんの車がやってきた。車に乗ると、シゲさんは「今日は警察が、先月からの反格差のを訴える座り込みの人たちを強制退去させたので、ものすごい交通制限で、なかなか来られなかったんです。心配したでしょう」と言った。それで、ヘリコプターも飛んでいたんだな。
今朝インターネットで朝日新聞を見ると、金色の銀杏の木の前に並んだ警官たちの写真があった。DNAの前の公園に、多くの人がテントを張って座り込みをしていたのだ。200人も逮捕されたという。
ニューヨークに来ると、いつもマンハッタンの繁華街をブラブラ歩いて、本屋を覗いたり、MOMAに行ったり、しゃれた喫茶店に入ったり、何となくニューヨークを楽しむ気分になったものだが、今回はそんな気分になれないのはなぜだろう。
世界が猛スピードで動いているのを感じる。何処に向かっているのだろうか。