2008.3.16

早朝目が覚めて蒲団の中で「ルポ貧困大国アメリカ」(堤未果)を読みおわる。春の光が、こんなに美しく一日の始まりを祝福してくれているのに、やれやれ、 心が重くなるような報告がいっぱいだ。今日は二重三重のからくり箱の中にいるようで、何が本当で何が嘘なのかわからない。がんばっても何も変わらないし変 えられないから、まあいいか、と知らず知らずに無関心になり・・・・でも、最後に「だが目を伏せて口をつぐんだ時、私たちは初めて負けるのだ.そして大人 が自ら舞台からおりた時が、子どもたちにとっての絶望の始まりになる」という著者のメッセージを読んで、さあ起きよう、と蒲団から出て、午前中早々に家を 出て、叡と渋谷の松濤美術館に小学一年の孫娘の絵を観に行く。渋谷区小中学生絵画展に彼女の絵が選出されているからだ。
『まほうのくに』というタイトルで、あか、オレンジ、ピンクの美しい色合いは、いかにも女の子。ちいさなあたまの中いっぱいに広がった「まほうのくに」が そのまま画用紙に描かれている。194点の作品はどれもこれも自由で、たのしくて、ふしぎで、うつくしい。どれもこれもマチス、シャガール、クレー、マル グリット、ダリ、ピカソ等々に引けを取らない。子どもたちの絵が、私の重い心をしっかりと救ってくれた。
午後、世田谷のシアタートラムで川村毅さん作・演出の『ワニの涙』を観る。2005年に始まった〔神なき国の夜〕シリーズの最終章。前作の『クリオネ』と 『フクロウの賭け』と今回も手塚とおるさんが主演。川村さんの作品には何時も黒々とした大地の土の香りと突き抜ける透明な空の青さが感じられる。手塚とお るさんは独特のセリフの語り口、不思議な動き、奇妙な役がよく似合う。なにはともあれ、私はお二方の大ファンなのだ。これからも観続けるぞ!