庭の花に

夏に向かって、庭の雑草が日に日に勢いを増してきた。自分で草取りもできないのに、生協で苗を注文し、アキラに植えてもらう。市場から黒いビニールのポットに入れられ運ばれてきた疲れ果てた様子の小さな苗も、土に戻してやるとホッとしたように生気を取り戻す。石ころだらけの大地でも、雑草に埋もれそうになっても、黙々と新しく生まれ変わり……健気だなぁ!
緊急事態宣言の解除の後は、コロナ時代を生き抜くために、コロナと生きる新しい生活がやってくる。40年以上リウマチと共に生きてきて、それに加えて、コロナとも共に生きていくとは、と思いあぐねていると、庭でアキラが花の水遣りをしている。昼間の太陽でぐったりした花が気になったのだろう(自分で植えた花でもあるしね) 。たっぷり水をもらった今日の花は、明日の花ではなく………やがて……。

蕾が膨らんできた
蕾が膨らんできた

   いそぐ水、走る水……
いそぐ水、走る水、ーぼんやりした大地に
すいこまれる忘れやすい水、
わたしたちのくぼめた手のひらに、しばしとどまれ、
    思い出すがいい。
きよらかな、すみやかな愛、無関心、
走りすぎるほとんど不在といっていいもの、
おまえの慌しい到着と出発のあいだで
ふるえる僅かな滞在.       R.M.リルケ『果樹園より』(高安国世訳)
オレンジ色が可愛い
オレンジ色が可愛い