空に住む人・濱地弘子さんの詩

「は〜るよ来い は〜やく来い あ〜るきはじめたみよちゃんが………」の頃なのに……何となく憂鬱な日が続く………さぁさぁ元気を出してヒサコサン………扉を開けて歩きだせ……と50分ほど冷たい風のなかを車椅子につかまり……叡の監視付き{?)で外歩き。

冷蔵庫のなかに………リンゴ・大根のすりおろし・柚子の細切れ(柚子茶用)・甘藷(お腹にいい)などなどが入ったタッパーが並んでいる。食事介助のヘルパーさんたちが………歯を失った私のために作り置きしてくれたもの……なんと温かいこと………ありがとう! 

キッチンに座って………これもやりたい………あれもやりたい………と思いながらも………何もできない。
気がつくと………薄闇に消えていく中庭の杏の木のなかに入り込み………木の温もりに包まれて……うとうとしている私がいる。

3年前、癌の闘病から解放されて他界された草木染めの染織家・濱地弘子さんの詩集を、お嬢さんの真美さんからいただいた。

 「みのってしまった事がらのうえに
 
  ふりそそいでいる光

  穂波と風のすれあうあたり

  もう光と 区別がつかない

  ことがらが とけていく

  ことがらが とけていく」

『空のいちにち』  二〇二五年十二月十二日発行

詩・挿絵  濱地弘子
装丁    穐月 萌
発行者   家族のみんな