EURYTHMIE WS IN HP akirakasai 3

WS 3   2020 4 22
今日は、空いっぱい雲が広がり、その向こう側の太陽光線によって、地上に流れてくる陽の光は軟らかく、家々や木々の間の空気もさらに静けさをましたような感じがいたします。私は目を覚ますとすぐに、体を動かすくせがあります。今日はイタリアの歌姫マリア・カラスの歌を聴きながら、飛んだり跳ねたり。曲名はCAVALLERIA RUSTICANA。『ゴットファザー3』を思い出しました。このオペラが鳴り響く劇場の中での毒殺シーンです。
では、昨日の続きをいたします。テーマは、「を」と「お」ですね。
この二つの声が、人間の中の動物性と人間に係りがあるというところまで話をいたしました。動物といえばまず形態的に思うのは、「四つ足」で歩く、ということです。このときの、動物発声の母声の代表が、「を」と言っていいでしょう。このHPワークショップはただ、読むだけでも、いいのですけれども、カラダと一緒にやっていただくならば、ここで、次の実習を入れたいと思います。
1   私たちが赤ん坊の時に、ほぼ1年間、やり続けた四つ足歩行です。声は出さなくて結構ですが、「を」を感じながら、部屋のあちこちを歩き回ってください。人間であることを中断して、静かに歩き回るのです。この歩行だけでも、すごい力があるのです。人間を一瞬のうちに、動物状態に変えてくれます。そして、それまで忘れていた本能的な力が黙々とわき上がってきます。例えば疲れた時に、仰向けに体を横にして力を抜いているならば、必ず体の中から、治療的力が出てきます。同じように、この四つ足歩行は、忘れていた本能的な力、「外的な動物」が目覚めるのです。ポイントは、オイリュトミーですから、動いてみるだけではなく、それを常に身体感覚に変え、次にそれを、力の流れに変える、ということですね。この力の流れがはっきりつかめるようになりましたら、それを、いつでも取り出せるように、胸の奥の方に、しまっておいてください。引き続いて・・・・・・・・・・・・
2  単純にこの二つの声 「を 」と「お」を交互にゆっくりと声を出して発声いたします。次は声を抜いて発声力だけの、「声なし発声」します。「を」は肺の方から軽く絞り出すように、「お」の時には、口腔から頭部の方にやわらかく響くようにです。
3   この二つの身体感覚とエネルギーの違いが明瞭に区別できるようになりましら、「を~」の場合には、肺から直接、左右の肩甲骨を通して、それから下方に向かっては、二つの膝のお皿の骨(膝蓋骨)を通して、発声力を、左右と下方に向かって、四方に広げます。「お~」の場合には、オイリュトミーの「お」形をとりながら、両手と頭骨の円さ全体に向かって、発声力を流します。「を」の時のやり方は、肺を絞りますと、すぐにカラダの中の動物的力が流れ出ますので、それを肩甲骨と膝蓋骨に結びつけて外に広げるです。これは人間が「内的な動物」に変わる、エキセントリックな瞬間です。{お」の場合には、この力が上方に向かって流れることによって、人間の中の「至上の人間」が、目覚め始めるのです。1の練習は、四つ足ですが、2、3の練習は、直立して行います。この1、2、3、をセットにして、3回繰り返します。すると、このような二つの力を人間の体の中に、流し込んでくれているものに対する、「畏敬の気分」がわき上がってきます。
この人間のなかにおける動物性と人間の違いは、人間の身体器官、感覚器官や、消化器系あらゆるところに広がっています。これまでこの問題は主として、人間の植物性と結びついている「平滑筋」、動物性と結びついている「横紋筋」、人間性と結びついている「心筋」の領域から考えられてきましたけれども、この三つの領域にオイリュトミー的言語作業を結びつけるということは、これからの、カラダを捉えるうえで、重要な入口です。
次回は、この二つの母声と眼球、視覚との関わりを、体験してみたいと思います。
今日も安らかにお過ごしくださいますよう。